クジラ汁とG-SHOCK
正月も過ぎたというのに又大鍋でクジラ汁を巫女が作った
私は病人の家族に依頼されると霊山修行に入る事が多い
ほとんどの方が末期癌ですからなまじの事では治ってくれない
二人に一人がかかり 三人に一人がなくなって行く始末の悪い病だ
氷点下の霊山は想像以上に体力の消耗が激しい
寒波に遭ったら帰還が難しい時もある
正に命懸けである
途中で滝に浴びなければ霊峰へは行けない
行者返しといわれる難所だらけである
これは北海道ならではのものだろう
私の食べるクジラは調査の元で捕鯨されたものではない
既に死んで海底にあるものを魚屋さんに特別に頼んでいる
その方が値段がかなり高くなるのですがそこは神社的考えだから
仕方がない
だからどこの保護団体に苦情を言われた事は無い
体力をここまで温存してからでないと厳寒の霊山修行は無理である
そこでまた何故G-SHOCKなのかと聞かれる
簡単な話がプレゼントして下さる方がいるからだ
昔からそうだ
そんな優しい人もいる
大体滝を浴びてもこの時計は凍らない
山岳用に適していて一時間毎に自動で時間を合わせてくれる
自分のいる位置が帰るまでスタッフが確認できる
遭難した時でも対応できますね
もうひとつ懐中電灯を当てなくてもボタンを押すとどんな暗闇でも時間が分かる
こうやって皆に支えられて初めて霊峰を極めれる
しかしだねぇ
治った家族からお礼もなければ治った本人も神なんているのか?
こういう人達の為に登ったと想えば妙に哀しくなります
でも
私はそれでもいいんだと自分自身に言い聞かせる
人の命を救えたのだからと・・・
電話がしつこく鳴る
職員が電話応対を通常はしている
「宮司 例のお礼しなかった○○さん 再発したんでもう一度お願いしたいという
お電話ですが~」
神がお受けする訳がない
残念ながら丁重にお断りするしかない
然し私の腹の中では「社会一般常識を幼稚園から学び直してから来ればいい」と
実は腹の中が煮えくり返っているのでございます
宮司だって
人間だもの
白鳳神社 宮司 宮川吉弘拝
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